GravityZoneオンプレミス管理コンソールの構築ガイド:Windows 11 Pro上のHyper-Vで実現

なぜ今、オンプレミスなのか?

 近年、セキュリティ要件の厳格化、特定の法規制への対応、そして既存IT資産の最大限の活用という観点から、オンプレミス環境を選好する動きが再び顕著になっています。コスト効率と安全性のバランスを重視する「オンプレミス回帰」のニーズが高まっているのです。

 特に、数台から数十台の小規模システムであっても、ランサムウェアをはじめとする高度なサイバー攻撃から資産を保護するため、その規模に関わらずエンタープライズレベルのセキュリティ対策が不可欠となっています。

GravityZoneオンプレミス管理コンソールの特長

 Bitdefender GravityZoneは、当初より仮想アプライアンス形式でオンプレミス管理コンソールを提供しています。

  • オールインワン:ソフトウェアを既存OSにインストールするのではなく、仮想マシン(VM)丸ごととして提供されます。データベース(MongoDB)、Webサーバーなどが全て組み込まれているため、別途データベースなどのソフトウェアを用意する必要はありません。
  • 管理コンソールは無償 管理コンソールの利用自体に費用は発生しません(別途、エンドポイント保護ライセンスが必要です)。
  • 全てのパッチが提供:Bitdefender製品だけではなく、OSのUbuntu 24.04LTSを含めた全てパッケージのパッチが、定期的なアップデートで提供されます。これには将来のOSメジャーバージョンアップも含まれます。
  • 仮想プラットフォームが必要: 稼働させるには、VMwareやCitrix XenServerなどの仮想プラットフォームが必要です。

 しかし、前述のような小規模システムにおいて、高額な導入・運用コストを伴う商用仮想プラットフォームの採用は現実的でない場合があります。

 そこで本記事では、すでに現場であることの多いWindowsデスクトップマシンを利用し、シンプルかつミニマムな構成でオンプレミス管理コンソールを動かす方法を紹介します。

Windows 11 Hyper-Vを利用した構成

 仮想プラットフォームとして、Windows 11に標準搭載されているHyper-Vを利用します

1. Hyper-Vの利用要件

 ホスト(物理)マシンには以下の要件が必要です。

  • OS:Windows 11 Pro/Enterprise/Education
  • CPU:64ビット、Intel VT-x または AMD-V に対応していること
  • BIOS/UEFI:仮想化機能が有効化されていること

2. 必要なマシンリソース

 GravityZone仮想アプライアンス(OS: Ubuntu 24.04 LTS、DB: MongoDBなどを含む)の動作には、以下の仮想リソースが最低限必要です。

  • vCPU:8
  • vRAM:16 GB

 この仮想リソースと、ホストOSであるWindows 11自体の要件を考慮すると、物理マシンには以下の合計リソースが推奨されます。

  • 物理CPU:最低8コア(16スレッド推奨)
  • 物理メモリ:最低24 GB(16 GB + Windows 11 OS分など)

3. 必要な通信

 本製品の動作には、インターネットに接続して必要な通信ポートを介した最新の脅威情報・アップデートの取得が可能な環境が必須です。以下をルートドメインとする全ての階層のサブドメイン(例:*.bitdefender.comや*.*.bitdefender.com)を許可するよう設定してください。※インターネットから隔離された環境への導入に関して

  • 必要な通信先:bitdefender.com/bitdefender.net


導入の流れ

※文中の参照リンク先の公式ガイドは英語ですが、必要応じてブラウザの翻訳機能をご利用ください。

1. 事前準備

2. Hyper-Vの有効化

3. 仮想アプライアンスのダウンロード

  • GravityZoneの準備ページにある「GravityZone appliance images」をクリックして、Hyper-Vに対応したファイル(GravityZoneEnterprise.vhd)をダウンロードします。

4. 仮想アプライアンスの登録と起動

5. 初期設定

  • Hyper-Vマネージャーから起動した仮想マシンに接続し、コンソール画面を開きます。
  • 画面の指示に従い、パスワードや**ネットワークアドレス(IPアドレス)**などの初期設定を行います。

6. 管理コンソールの利用開始

  • ホストOS(Windows 11)のWebブラウザを開き、手順⑤で指定した管理コンソールのIPアドレスを入力して接続します。
  • 管理コンソールが表示されれば利用開始です。まず手順①で取得した試用ライセンスキーを登録し、機能を有効にしてください。


次のステップ:オンボーディング(新人研修)

 これまでの手順で管理コンソールの構築(First Step)は完了です。続いて次を実施してください。

  • エージェントのインストール:実際にクライアントPC/エンドポイントにエージェントをインストールして保護します。簡易インストールガイドを参考にして導入してください。
  • 集中管理の体験:集中管理型の運用例として、管理コンソールからインストールしたマシンに対してフルスキャンを実行したり、各種レポートを作成したりしてみましょう。

GravityZoneは基本的に自動で脅威へのレスポンス(対処)を行いますが、レポートや通知を通じて、その対処内容を定期的に把握するようにしてください。


必要ライセンス

 ライセンスはエージェントを導入するマシン数必要です。管理コンソールの利用にはコストは発生しませんが、このHyper-VをホストしているWindows11自身の保護も必要です。またLinuxやWindows Serverでも利用される場合、ライセンス数の詳細な算出、価格例をご確認ください。

最小購入可能ライセンスでのクライアント構成例

Bitdefender GravityZone Business Security Premium 5ライセンス

  • WindowsまたはMacに5台
  • WindowsまたはMacを3台とLinuxまたはWindows Serverを2台(計5台)

Bitdefender GravityZone Security for Servers 1ライセンス

  • LinuxまたはWindows Serverを1台